第225号「海辺の自然体験はおもしろい!」三好利和

 

第226号「海辺の自然体験と『いのち』」2025.7.25配信

認定NPO法人オーシャンファミリーの堀と申します。
神奈川県葉山町で海を中心とした自然体験活動を子ども達対象に行っており、団体としては前代表の海野さんの時から20年以上、私自身は活動に携わるようになって10年になります。
皆さんそうかと思いますが、海辺の自然体験活動をしていると、色々な場面で「いのち」と向き合うことがあります。いくつかの場面を紹介しつつ、感じたことや考えていることをお伝えできればと思います。

「溺れないためには」
まずは、海での活動にはつきものの、溺れのリスク。いかに安全を確保しながら楽しい活動を行うか、溺れないようにするにはどうすればいいか、常に考えさせられます。ライフジャケットをつけていれば大丈夫かと言えば、それも絶対ではなく、脱げてしまったり、岩に引っかかったり、何かの障害物があり、上がって来られなかったりというリスクはあります。そして、私たちの最近の活動でのヒヤリハットでも、参加者のファスナーがしっかり締まっていなくて脱げそうになったり、着け忘れたりということが起こっています。ライフジャケットがあれば安全という過信が一番のリスクかもしれません。
活動の中でスキンダイビングをすることもあり、私たちの活動ではライフジャケットをつけずに海に入ることが多くあります。安全管理を担うスタッフは緊張を強いられますが、常に目を離さないという点から言えば、その緊張はプラスだと感じます。子ども達自身もどこまで浮けるか、泳げるかという自分の実力を把握でき、溺れのリスクを感じながら自分で自分を守り、私たちが救えるように見守るという体制をとっています。

「生物採取」
葉山には磯場がいくつかあり、春の大潮の時期など、子ども達は夢中になって生きものを探します。そのような時に起こるのは、生きものを子ども達が触って死なせてしまうこと。特に、魚はダメージを負いやすく、あまり手で触らないと言うのですが、全く触らないようにするべきかと言うと、子ども達の好奇心から魚に触れてみたいという気持ちはよく分かり、もちろん無駄に命を奪うことは避けるべきですが、「いのち」に触れる体験は貴重であり、長い目で見れば海を守る次世代を育てるために必要なことだと感じます。言われたことを頭で理解するのでなく、身体的な体験を通して深く理解することが大事だと考えています。
「イノシシ」
葉山では年間100頭ほどのイノシシが捕獲されていて、私自身も罠猟を行っています。捕獲したイノシシを解体し、肉を食べる。その過程を映像で子ども達に紹介した時のこと。興味津々で見る子もいれば、かわいそうと目を背ける子も。でも、その後海岸でたき火をして肉を焼くと、次第に子ども達が寄ってきて、結局全員が美味しくいただきました。かわいそうと思う気持ちと、食べると美味しく感じる本能。どちらも人間にとってのリアルだなと感じました。
3つの場面しか紹介できませんでしたが、こういった「いのち」と向き合うことも海辺の自然体験の大きな意味だと考えています。世界は自然との距離が離れていく一方で、私たちの活動はますます重要になっていくはず。これからも自然と子ども達と向き合いながら、活動を継続していきたいと思います。


認定NPO法人オーシャンファミリー 代表 堀龍太
https://oceanfamily.jp/

2025年7月25日|キーワード:生き物、体験